入院しました
この1週間ちょっと、かかりつけの精神科に入院していました。
赤子以来、ほぼ人生初といっていい記念すべき入院の記録を残したくなって、すっかり苔生したこのブログを引っ張り出してきました。
⚠よくある「精神科閉鎖病棟のリアル」みたいなのは特にありません。
経験上他の病棟と比べることができませんし、他の患者の言動を詳述してインターネットに載せるのははばかられるからです。
そういうのでソフトなやつはTikTokとかにあると思うので、覗いてみてください
入院への経緯も含め長々と書いていますので暇つぶしに鼻くそほじりながらでも読んでいただけると嬉しいです。
大丈夫、明るいですよ!(実際病室も明るかったし♪)
そもそも何があった
7月31日、日曜のうだるような昼下がり。
私はその翌日から、母とともに3泊4日で沖縄に滞在することになっていました。
旅のメインイベントは2日目に行われるスピッツのライブ。
数々の先行抽選に敗れ、申し込んだ本州の諸都市をすっとばして唯一チケットを手に入れたのがこの沖縄公演でした。
賢明な読者のみなさまはこのあたりで勘付いているでしょう。
カヌーだかヌンチャクだかよくわからないそいつは沖縄上空からスピッツ楽団御一行の入り待ちを虎視眈々と狙ってうろうろ。
あわよくばタダ見まで狙っているかのような粘着ぶり。
お前の名前はネンチャクだ。日本語で「粘着」という意味。日本にようこそ!
この数日、その粘着台風のクソキモ粘着行為を観測しては、「これは1日の往路の飛行機は欠航やね」と思っていたところ、案の定、航空会社から変更手続きに関するメールが届きます。
この時点でネンチャクは2日の明け方頃に沖縄本島から離れると予想されていたたため、ライブ当日の2日の便で行くしかないね〜などと気楽に考えていました。
しかしここで、我々に致命傷を与える報せが届きます。
「スピッツ 沖縄公演 延期のお知らせ」
ま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ね?????
行くつもりで準備してはいたけれど、どこかでわかってはいました。
8月の沖縄でライブ。
8月以外の沖縄といえば、シーサーにソーキそば、泡盛にカチャーシーですが、
8月の沖縄といえば台風です。
すべての名物をなぎ倒します。知らんけど。
無理があるよな〜というのはチケットが当選した時点でわかっていたのですが、キャパの大きな本州の会場を希望する中で第4希望あたりに気まぐれに混ぜた沖縄公演に、私たちはその時すでに粘着されていたようです。何の因果?
もうちょい足早に先へ進んでくれんかったかな
猛獣になった
とりあえず、ライブが延期されたことは同行者である母に急いで知らせなければなりません。
チケットが取れたその日には沖縄のるるぶを購入し、あらゆるサイトで航空機チケットとホテルの料金を毎日欠かさずチェックするほど、母はこの旅行を心待ちにしていましたから。
階下にいる母の耳に届くよう、大きな声で延期の旨を告げながら階段を降りると、母と兄がいました。
すると、兄が私を見てひとこと
「大きな声を出すな」
世の中にこれほどまでに大きな声で伝達しなければならない案件が他にあるというんですか!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
ぷっち〜〜〜〜〜〜〜〜ん
まぬけなゴングが私の頭の中で鳴りました。
手に持っていたスマホを兄に向かって投げる
➡かわされる MISS!
母がスマホを拾い上げ、破損のないことに安堵し、私の手に戻す
⬅???????????
私がふたたび兄に向かってスマホを投げる
➡ふたたびかわされる MISS!
やはり、中学時代の内申点42点のうち、他教科が5点満点であったなか、体育だけが2を守り続けた悲しい過去を持つ女の運動神経はひと味違います。
その成績評価2をつけた教師は、私の高校受験を誰よりも応援してくれた、小学校からの恩師でした。
志望校には落ちました。
さて、スマホ射撃が不発に終わった猛獣、対峙した兄に対し、「余計なこと言うんじゃねえバカ!」と叫びを浴びせます。
普段このような大声を出す機会がなかった猛獣は、自分の腹から発生したパワーが喉を通ってあらゆる器官を震わし、波動となって出力されるその一瞬の出来事に圧倒されます。
なんて気持ちが良いのだ!
まるでジブリ映画で観るような、ふくらはぎほどの丈の草原に立ち、背中をぶわっと押すような風を受けるあの刹那、あの描写が表すものはこの叫ぶ行為に付随する強烈な感覚に通ずるんじゃないかと思いました。
ああ、この感覚をもう一度…
猛獣はさらにもう1発叫びます。
「お前は黙ってろバカ!」
もう中身はありません。ただただお前はバカだと言いたいだけなのでしょう。
日頃から兄に対しては思うところがあったのですが、意外にも私はムーミン谷の生まれ。
ムーミン谷の者たちは冒険を好んでも争いは好みません。
冒険を好むあまり、最近は************************パスワードを自力で当てて中に入ることに成功しました。
それはさておき、ここまではなんかちいさくてかわいい兄妹喧嘩(ちいかわ)ですが、猛獣の怒りはこんなものでは鎮まりませんでした。
もう書けません。
誰の血も流れなかったことが不幸中の幸いです。
体育2の私は我が家の男たちにより羽交い締めにして運ばれ、布団の上に降ろされるとその日は気絶したように眠りました。
猛獣、鎮圧。
「ねえこうやって生きてるかぎりはみんな猛獣」⬅️そうだぞ〜
閉鎖病棟へGO
翌朝目を覚ました私は、昨日自らが犯した暴力と錯乱ぶりを後悔し、さめざめと泣きました。
病院でうつ病の診断を受ける前にも、このように暴れて人や物にあたることがあったのです。
服薬と休養のおかげで最近は落ち着いていたのですが、どうやら私のうつ治療はふりだしに戻ってしまったようです。
そうとなれば、お医者さんに相談だ!
(ガッツポーズをし、カメラに目線を向ける)
自分の長所は、自分に悪いところがあれば直ちに病院へ赴き素直に医師の指示をあおぐところです。⬅️履歴書に書けるかな?
幸いこの日は主治医の勤務日だったため、予約枠の後ろに入れてもらうことに成功。
診察で泣きじゃくって話せないことを見越し、あらかじめスマホのメモに書いておいた事の経緯を主治医に読んでもらいました。
読み終えた医師からは2つの選択肢が提示されます。
入院か、自宅療養の継続か。
後者を選べば、自宅でなんとか気分を落ち着かせ、スピッツ沖縄遠征(スピッツ抜き)ができるかもしれません。飛行機もホテルもキャンセルしていないので、飛行機さえ飛んでくれれば。
しかし、兄と家の中で遭遇するたびに、動物園を歩く客に向かって奇声とともにうんこを投げるチンパンジーのごとく、私はバーカ!と叫んでスマホを投げてしまうでしょう。
こんなちいかわ(なんかちいさくてかわいい兄妹喧嘩)が続いては、いつかは成長してでかこわ(でかくてこわい兄妹喧嘩、緊急車両が通ります)になってしまい、他の家族にも大きな負担を与えてしまいます。
私はこうして、入院を選びました。
(小さい声で、「でもおきなわ…おきなわ…」とも言ってたらしい)
医師の指示による入院ではなく、医師の提案に対し患者の私が同意することで実施される任意入院です。
そうと決まれば話は早いと、主治医は病棟にベッドの空き状況を確認し、メガネを壊して何も見えない私に代わって、入院時の告知事項などを読み上げてくれました。
そうそう、私は昨日のちいかわの際、高揚のあまり掛けていたメガネを2つに折って投げ捨ててしまったのでした。
やはりZ。ffのメガネはおしゃれだけれど華奢で弱い。
次のメガネはJ┃NSにあるような極太ビン底激存在感メガネにしようと思います。
メガネがなくても入院できた♪
住環境ヒエラルキー
さて、入院に関する手続きや生活用品の準備を家族に依頼し、私は看護師のお姉さんに連れられて病室へと向かいました。
メガネがないのでよく見えないけれど、病棟は明るく涼しく、フローリングの床はよく磨かれていて悪くない雰囲気です。
行ったことはないけれど、グループホームってこんな感じなんでしょうか。
私が案内された病室はこんな感じでした。
S岡大学片山寮<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<N岡技術科学大学学生寮<<<<<<<<ノルウェーの刑務所<<<<K察学校の寮≒病室
また入校させられたかと思ってびっくりしちゃった。
初任科やり直しさせられる人っているのかな?いないよ✋😅
やわらかなブラウンを基調とした木目調の家具たち、収納に長けたタンスとクロゼット。
ベッドサイドに置かれたチェストを見た瞬間、不覚にもテンションが上がりました。
ティッシュとメガネと時計と体温計以外の物を置くと指導されるやつじゃん!!!
余談ですが、K察学校入校時、私と隣室の同期とそのまた隣室の同期は偶然にもコ─プのティッシュを持参してしまい、チェストの上に置いてうっすら怯えながらすごしていたというほんわかヒストリーがあります。
しかしここには教官はいないので、コ─プのティッシュだろうが首藤義勝さんが伸びをしているブロマイドを置こうが指導されませんでした。いい所ですね。
地球人が選ぶ、スマホ裏に入れておいてよかったものランキング2023第1位
真中らぁらさんの家、突発的な買い物が多いから生協使ったほうがいいと思うんだけど、らぁらさんがプリパラポリスだからタブーなのかも
美は細部に宿る
持ち物に関する家族との最終連絡を終えたあと、スマホは病院に回収されました。
これから私はコロナ対策としてこの個室から出ることなく過ごすことになります。
配布された1日のスケジュールは以下のとおりです。
白い。
洗浄成分が繊維の奥まで深く浸透しちゃったのかな。
午前の作業療法については個室では行われないとの説明も受けました。なーん。⬅️思わず猫が出てしまいました。
予定と予定との間の時間の過ごし方は一切指示されていません。
スマホをはじめ、電化製品は持ち込み不可、うつの症状により本は読めないので持ってきていません。
さあどうしようか。
気づくと私は爪の面積をひたすら広げていました。
甘皮を押し上げ、ひっぱる。
ハンドクリームを擦り込む。くり返し。
私は一切の娯楽から距離を置かれると、一心不乱に甘皮処理に興じる奇妙な生態を持っていたようです。
時間を忘れ、超集中。
作業時間は恐ろしくて計算しようと思いませんが、個室にいた期間で私の爪はたいへん美しくなりました。
爪の治療に来たんか?
岡崎京子の声は日本の片田舎の病室にも届くのだ
食事がまずかったので別れた
入院といえば注目を集めるのは、やはり食事でしょう。
私が生涯のバイブルとして崇めてやまない漫画『動物のお医者さん』コミックス第3巻に、こんなコマがあります。
「病院の食事がまずかったので別れた」
これは、この漫画のヒロイン(?????)である菱沼聖子が、偶然再会した医師とただならぬ雰囲気を醸し出しているのを周りから探られているシーンに登場します。
菱沼さんに対し「あんな別れ方をして気になっていた」と医師が告げると、
「だって食事がまずかったんですもの」と答える菱沼さん。
これには周りも困惑。
実際のところ、医師と菱沼さんは執刀医と患者の関係にすぎず、菱沼さんはその医師から腸をぎゅうぎゅうに詰められたうえ、病院の食事がまずかったので早々に退院した、というお話です。
前置きが長くなりましたが、私も結果的にそうなりました。(腸詰めは受けてません!)
ごはん、おいしくない……😢
あらゆる食材に念入りに火が通されています。食中毒予防にはとても大事なことですね。
ただこの食感は、何もかもが燃やし尽くされていたイギリスの食事を彷彿とさせます。
そして毎食どこかにいるほうれん草は、K察学校の給食ともリンクしています。
頭と身体の成長と健康維持に必要な野菜として、おそらく唯一常任理事を担っていたほうれん草。
意外な人選に、当時の私はかなり衝撃を受けたものです。
K察学校からも病院からもゴリ押しされているほうれん草、何者なんだ。
有馬かなさんはピーマン体操ではなくほうれん草普及ソングを歌ったらもうちょっと大成したかもしれない。
ほうれん草食べたら警察官♪ ⬅️嫌すぎる
大部屋での気づき
コロナ対策としての5日間の個室生活を終え、大部屋に移動となった私はすぐさま家族に連絡し(病棟内の公衆電話のみ使用が許可されていました)、退院する旨を伝えました。
腸詰めはされなかったけれど、食事がまずいのはなー。
この任意入院の退院の条件は「退院したいと思うこと」だったので、私の申し出に対し主治医もふたつ返事で許可してくれました。
主治医や薬局のスケジュールと調整して数日後には退院できるとのこと。
大部屋にこそ閉鎖病棟の面白み(他者を貶すような意味でなく、社会的な、深みのような意味です)があるように思いますが、そこは私もうつ病患者、そんな観察意欲は湧かず、他の患者の目を恐れて布団にもぐり、相変わらず爪の面積を広げていました。
面白かったことといえば、大部屋に移った最初の夜、「このグミ、めっちゃやわらかい〜」という自分の寝言で目を覚ましてしまったことくらいでしょうか。大部屋移動恥発生RTA?
ただ、良いこともありました。
入院患者のおじいさんがぐるぐる自転しているところに、「どうされましたー?」と明るく声をかける看護師さん。
ありふれた光景ですが、そういえば私も、働いていた頃はあんなふうに困っている人にすかさず声をかけるようにしていたのを思い出しました。
もともと私は、知らない人に声をかけることには抵抗があり、Kの一味になってからもなかなか声をかけることができないダメ職員でした。
当時親しくしてくれていた憧れの女警さんが困っている人にささっと声をかけている様子を見て、私もあんなふうになりたい!と思った日から、仕事でもそれ以外でもそういうことができるようになったのでした。
できるかどうかはまだまだ先の話ですが、働く看護師さんたちを見て、「私もそうだったよな、戻りたいな。」と思えたことは回復の兆候ではないかと思いました。
「拾ってくれてありがとう」も心から言えるようになりたいんですけどね〜(眉間にしわをよせている)
よってたかって狂わす女たち
入院最終日、退院時刻の確認と家族の様子をたずねるため、母に電話をかけました。
家族はみんな、なんだか、しょんぼりしているそう。
それもそのはず、1年近くにわたるうつ治療がふりだしに戻ってしまったわけですから。これは本当に申し訳ない。
しかしなにより私が驚いたのは、我が家を統べる気高き毛皮、プリンセス・ウーさんもしょんぼりしているらしいということです。
本名・福 (推定4歳、メス)
可愛さのあまり、私から子音を剥奪された。
女の子を、泣かせちゃった(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)
入院中にいちばん泣いたかも。
退院前夜はもうウーさんのことで頭がいっぱい。
早く朝にならないかな。
なかなか眠れないし、胸がざわざわする。苦しい!
そう考えながら強めに寝返りをうったところ、ベッドから思いのほか大きな音が出てしまい、巡回していた看護師のお姉さんが部屋に入ってきました。
看「大丈夫?ベッドから落ちた?」
私「ちょっと派手に寝返りをうちまして…すみません」
看「あんまり眠れないか。」
私「明日うちの猫に会えるのが楽しみすぎて…」
看「遠足前かっ!(笑)」
萌え萌え萌え萌え燃え萌え萌え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘💘
萌えが出てしまいました。失礼しました。
年上のお姉さんからの突然のもえ波(もえは)を受けてしまった私は人中を5メートルほどに伸ばし、看護師さんが持ってきてくれた温かいお茶を飲み、首藤という苗字に合う女の子の名前などを考えながらなんとか眠りにつきました。
「むき出しのでっぱり」って、人中のことらしいです
地球上の生物が選ぶ、首藤さんとの結婚式で本人に弾き語りさせたい曲ランキング第1位
退院しました
こうして私は、看護師さんたちの献身的な看護とおいしくない食事のおかげで、目安であった1ヶ月よりもかなり早めに退院することができました。
入院した日の私はぐずぐずと泣くことしかできず、「先生は治療を長引かせているうえに入院までさせる銭ゲバなのだ」と母に訴えるほどよれよれの状態でした。
毎朝検温しに来てくれる看護師さんに挨拶をすることから始め、考えたことをメモ帳に書きとめ、スマホから見える汚いオタクの小競り合いから目を離して穏やかに過ごしたことで、退院前夜には萌え萌えできるほどに回復しました。
先のことは全くわかりません。
訓練次第で怒りをコントロールすることはできると主治医は言っていましたが、それができたらフォロワーのアバレンジャーたちにも教えてあげたいし、
休職関連書類の提出を求める会社からの電話は止まらない。
ずさんな入り方をした保険ははたして今回適用されるのか。
仕事には戻れるのか、去るのか。
うつ病は治るのか。
まーったくわかりません。
私ってどうしたらいいですかねって毎日思っています。
それでも、休めるうちは休む、これに尽きると周りは言ってくれているので、本当に休めない状況になるまでは猫や好きな人間の顔面を見て過ごしたいと思います。
それで、私のことを思い出してくれた人たちとたまに会ってお話なんかできたら、私は嬉しいです。
おまけ
初日に出たカレーはおいしかった✌
退院後自宅にて
プリンセス・ウーときれいになった爪